インボイスの経過措置「80%控除」、2026年10月から70%に。免税事業者との取引で押さえておきたいこと
2026.08.19・Taxel編集部
インボイス制度(適格請求書等保存方式)には、免税事業者からの仕入れであっても一定割合の仕入税額控除を認める「経過措置」があります。この控除割合が2026年(令和8年)10月1日から段階的に引き下げられます。顧問先に免税事業者との取引がある場合、実務への影響が出やすいタイミングのため、公表情報をもとに整理します。
そもそもの制度:インボイス制度は2023年10月開始
インボイス制度は2023年(令和5年)10月1日に始まりました。仕入税額控除を受けるには、原則として登録を受けた「適格請求書発行事業者」が発行する適格請求書(インボイス)等の保存が必要です。免税事業者はインボイスを発行できないため、免税事業者からの仕入れは本来、仕入税額控除の対象外になります。
経過措置とは:免税事業者からの仕入れでも一定割合は控除できる
この変化が取引全体に急に影響しないよう、免税事業者等からの課税仕入れについても、一定期間・一定割合であれば仕入税額控除を認める経過措置が設けられています。この措置には期限があり、時間の経過とともに控除できる割合が段階的に下がっていく設計になっています。
控除割合のスケジュール
| 期間 | 控除割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日〜 | 控除なし(0%) |
2026年(令和8年度)税制改正大綱では、従来「80%→50%→控除なし」としていた段階を、上表のように「80%→70%→50%→30%→控除なし」の多段階に見直す方針が示されています。急激な負担増を避け、より緩やかに移行させる内容です。今のところ現在(2026年7月)は80%控除の期間ですが、2026年10月1日からは70%に下がることになります。
経過措置を使うために必要な保存書類
経過措置の適用を受けるには、免税事業者等から受け取る「区分記載請求書等」と同様の内容が記載された請求書等を保存すること、加えて、その課税仕入れが経過措置の適用を受けるものである旨(80%控除・70%控除等の特例を受ける取引である旨)を記載した帳簿を保存することが必要とされています。通常のインボイス保存とは書式・記載事項が異なるため、免税事業者との取引が多い顧問先では、記帳ルールの見直しが必要になる場合があります。
まとめ:控除割合の変わり目は、顧問先との取引条件の見直しどきでもある
控除割合が下がるということは、免税事業者からの仕入れにかかる実質的なコストが相対的に上がっていくということでもあります。2026年10月の70%への切り替わりを機に、免税事業者との取引条件(価格交渉・インボイス登録の依頼など)を見直す事務所・企業も出てくると考えられます。顧問先ごとの取引先構成を踏まえて、早めに影響範囲を確認しておくことが望ましいでしょう。
参考: 国税庁「インボイス制度の概要」、 鮎澤パートナーズ「インボイスの経過措置(80%→70%→50%→30%→0%)」、 ソリマチ「令和8年度税制改正でインボイス経過措置はどうなる?」 ※本記事は公表時点の情報をもとにしています。制度の詳細・最新の要件は必ず一次情報および顧問税理士にご確認ください。