少額減価償却資産の特例、30万円未満→40万円未満に拡充(2026年4月取得分から)
2026.08.19・Taxel編集部
パソコンや什器備品などを購入したとき、一定の条件を満たす中小企業・個人事業主は、その費用を一括でその年の経費にできる「少額減価償却資産の特例」があります。この特例の対象となる金額の上限が、2026年(令和8年)4月1日以後に取得する資産から引き上げられています。設備投資のタイミングに関わる話のため、内容を整理します。
そもそもの制度:中小企業者等の少額減価償却資産の特例とは
通常、10万円以上の資産を購入した場合は「減価償却資産」として、耐用年数に応じて複数年に分けて経費計上します。しかし青色申告をしている中小企業者等(資本金1億円以下の法人や個人事業主など、一定の要件を満たす事業者)については、取得価額が一定額未満の資産であれば、その事業年度に全額を経費として計上できる特例が設けられています。適用を受けるには、確定申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」(別表16(7))等の添付が必要です。
何が変わったのか:上限額が30万円未満から40万円未満へ
| これまで | 2026年4月1日以後取得分 | |
|---|---|---|
| 対象となる取得価額 | 30万円未満 | 40万円未満 |
| 年間の合計上限 | 300万円 | 300万円(変更なし) |
| 対象外となる法人 | ー | 常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象外に |
令和8年度税制改正大綱により、1つの資産あたりの上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。一方で、年間の合計適用上限額(300万円)は変わっていません。また、この改正にあわせて、常時使用する従業員数が400人を超える法人は特例の対象から除外されることになりました。適用期限自体も、あわせて3年間延長される方針が示されています。
経営判断への影響:設備投資のタイミングと会計処理が変わる
例えば取得価額35万円のノートパソコンを購入した場合、これまでは特例の対象外(複数年での減価償却が必要)でしたが、2026年4月1日以後の取得であれば、一括でその年の経費にできることになります。単年度の利益・納税額の見通しに直接関わるため、期末に近いタイミングでの設備投資を検討する際は、取得日がいつになるかによって処理が変わる点に注意が必要です。
まとめ:金額の境目にある投資ほど、取得日の確認を
今回の改正は上限額が10万円引き上げられるという、範囲の変更にとどまるものです。とはいえ、30万円台の資産を扱う場面は決して少なくないため、対象になるかどうかで会計処理も納税額の見通しも変わってきます。設備投資を検討している場合は、取得日がいつになるか、金額がいくらになるかを事前に確認しておくとよいでしょう。
参考: ソリマチ「令和8年度税制改正で少額減価償却資産の特例はどうなる?」 ※本記事は公表時点(令和8年度税制改正大綱)の情報をもとにしています。法案の成立状況や適用要件の詳細は、必ず一次情報および顧問税理士にご確認ください。