法人の会計ソフトのおすすめ|「誰が入力するか」で3タイプに分けて選ぶ(2026年11月時点)
2026.11.02・平澤 建
「会計ソフト 法人 おすすめ」で検索すると、「14選」「23選」「9製品比較」といった一覧記事が上位に並びます(2026年11月2日、筆者の検索結果)。料金表と機能の一覧は充実していますが、並んでいるソフトはクラウド型・インストール型・会計事務所向けが混ざっていて、自社がそもそもどの種類から選べばいいのかは書かれていないことが多いのが実情です。
法人の会計ソフト選びは、ソフトの名前から入ると迷います。先に決めるべきなのは、誰が帳簿を入力するかです。この記事では、入力する人で会社を3つのタイプに分け、タイプごとの選び方と、法人だからこそ確認しておきたい点を説明します。
結論:「誰が入力するか」で選ぶ種類が決まる
| タイプ | 入力する人 | 選ぶ種類 | 決め手 |
|---|---|---|---|
| A 任せる型 | 税理士事務所(記帳代行) | 事務所が使っているソフト | 社長はソフトを選ばない。見たいときに見られるかだけ確認 |
| B 自社入力型 | 社長・兼任の事務担当 | クラウド会計(freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計 Next など) | 銀行・カードの自動取り込みと、顧問税理士との共有 |
| C 経理担当型 | 専任の経理担当 | クラウド会計の上位プラン、またはインストール型(弥生会計・勘定奉行・PCA会計など) | 部門管理・承認の流れと、担当者が慣れているか |
設立したばかりの会社や、社員が数名までの会社は、ほとんどがAかBです。Cに当てはまるのは、経理を専任で置いている会社です。
タイプA:記帳を税理士に任せる会社
記帳代行を頼んでいるなら、会計ソフトは事務所側のものを使うのが基本です。事務所によっては、提携するソフトの利用が前提になっています。たとえばTKCのFXシリーズは、TKC会員の会計事務所を通じて提供されています。
このタイプの社長がソフト選びで考えることはほとんどありません。代わりに、次の2点を事務所に確認しましょう。
- 月次の数字(試算表)を、いつ・どの形で受け取れるか。翌月の何日ごろに、PDFか画面の閲覧かを決めておきます。
- 将来、自社入力に切り替えるときに、データを持ち出せるか。事務所を変えるときにも同じことが起きます。
記帳代行の料金の目安は、記帳代行の料金にまとめています。
タイプB:社長や兼任の担当者が入力する会社
多くの小規模法人がここに当てはまります。選ぶのはクラウド会計です。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込めるので、入力の手間が大きく減ります。候補はfreee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 Nextの3つに絞ってよいでしょう。
料金は「何人で使うか」で変わります。例として、マネーフォワード クラウド会計の法人向け料金を載せます。
| プラン | 月あたり(年払い・税抜) | 年額 | 利用者 |
|---|---|---|---|
| ひとり法人 | 2,480円 | 29,760円 | 1名(1会計年度の仕訳は500件まで) |
| スモールビジネス | 4,480円 | 53,760円 | 3名まで |
| ビジネス | 6,480円 | 77,760円 | 3名+4名以上は1名300円(月払いは月7,980円) |
出典:株式会社マネーフォワード「マネーフォワード クラウド会計 料金・プラン」(2026年11月2日閲覧)。同ページには、2027年6月に料金体系の一部改定を予定しているとの注記があります。freee会計と弥生会計 Nextも、プランと人数で料金が変わります。契約の前に、各社の公式ページで自社の人数に当てはめた金額を出しておきましょう。3社の料金を同じ条件で並べた表はクラウド会計の比較に、弥生の詳細は弥生の料金にまとめています。
料金ページの注記で見落としやすいのが、人数の数え方です。マネーフォワードの「ひとり法人」プランは、登録されているユーザーが士業のアカウントを除いて1名の場合に契約できる、と書かれています(同ページ)。顧問税理士にデータを見てもらうために招待しても、1名の扱いは変わらないということです。社長と事務担当の2名で使うなら、ひとり法人ではなくスモールビジネスを選びます。
タイプC:専任の経理担当がいる会社
経理担当が毎日入力し、部門別の損益や、上長の承認を経てから仕訳を確定させる流れが要る会社です。クラウド会計なら上位のプラン(部門の数や階層、承認の機能が増えるもの)、インストール型なら弥生会計、勘定奉行、PCA会計などが候補になります。
このタイプで決め手になるのは、機能の多さよりも担当者が使い慣れているかです。入力に慣れたソフトを変えると、最初の数か月は入力が遅くなり、月次の締めが遅れます。乗り換える場合は、決算が終わった直後の期首から切り替えるのが安全です。手順と、引き継げないデータの一覧は会計ソフトの乗り換えにまとめています。
法人だからこそ確認したい3つのこと
1. 法人税の申告書は、会計ソフトでは作れないことが多い
会計ソフトが作るのは、帳簿と決算書(貸借対照表・損益計算書)です。法人税の申告書は、別の申告ソフトで作るのが一般的です。たとえばマネーフォワード クラウド会計の料金表には「消費税申告書の作成」はありますが、法人税の申告書の作成は機能の一覧にありません(2026年11月2日閲覧)。申告を顧問税理士に頼むなら、税理士事務所の申告ソフトで作ることになります。
私たちがTaxelの開発でヒアリングした税理士の先生からは、2026年6月に次の趣旨の話を聞いています(1名の証言です)。クラウド会計は帳簿をつける「会計」に強く、申告書を作る「税務」は別のソフトで動いていることが多い。そのため、社長が選んだソフトのデータが、事務所の申告ソフトにそのまま入るとは限りません。契約の前に、顧問税理士に「このソフトのデータを受け取れますか。受け取り方は共有ですか、ファイルですか」と聞いておきましょう。
2. 決算書をPDFで出力できるか
法人の決算書は、融資の申し込み、補助金の申請、取引先の与信など、何度も外に出します。私たちは決算書の数字をAIで読み取る仕組みを作っており、原本と1項目ずつ照合しています。2026年9月29日時点の測定では、会計ソフトから直接出力したPDF(10冊・90項目)は誤りがゼロでした。一方、紙をスキャンしたPDFは毎回1〜3か所で読み違いが出ました。サンプルが少なく統計的な保証はありませんが、決算書は会計ソフトから直接PDFで出力して保存しておくと、どこに出しても読み違いが起きにくくなります。
3. 無料期間に、自社の取引10件を入れてみる
マネーフォワードは1か月の無料トライアルがあり、終了後に自動で有料に移行しないと記載されています(同ページ)。他社も無料期間を設けています。この期間に、毎月ある取引(売上の入金、仕入れの支払い、給与、家賃、カード払い)を10件入れて、次の3点を確かめましょう。
- 使っている銀行・カードの明細が取り込めるか
- 自動で付く勘定科目が、顧問税理士のやり方と合っているか
- 決算書と月次の試算表を、PDFで出力できるか
まとめ:契約前にやること3つ
- 自社がA・B・Cのどれかを決める。記帳を任せるなら、ソフトは事務所に合わせましょう。
- 顧問税理士に「このソフトのデータを受け取れるか」を聞く。候補はこの段階で1〜2社に絞れます。
- 使う人数を数え、無料期間に取引10件を入れて決める。料金は自社の人数に当てはめた年額で比べましょう。
関連記事:クラウド会計の比較/給与計算ソフトの比較/会計ソフトの乗り換え/弥生の料金/記帳代行の料金/電子帳簿保存法の対応ソフト
執筆
平澤 建(ひらさわ たける)
Taxel 代表。中小企業向けにKPI経営の伴走支援とEC運用支援を行っています。 税理士の先生方へのヒアリングを重ね、いただいた要望をそのまま機能にする形でTaxelを開発しています。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。料金は記載の閲覧日時点の公式ページの表示で、変更される場合があります。契約前に各社の公式ページでご確認ください。読み取り精度の数値は自社開発ツールでの測定で、サンプル数が少ないため統計的な保証はありません。筆者は税理士ではありません。